OURS感想

 2004 2月号

 ただそこに、ウルフウッドの墓標がある。
 
 彼を埋葬するシーンが描かれない以上、
 私たちは自分の手で
 記憶のなかの彼を葬らなければなりません。
 その瞼をそっと伏せさせて、
 その身体を地中に横たえて。
 でも、私はその情景を思い描かない。
 死を認めないからではなく。

 ウルフウッドとの最後の時を
 惜別のすべてを
 ヴァッシュに捧げたいと思ってしまうから。
 独占させてあげたいんです。
 少なくとも私の分は、彼に譲る。
 
 大切な者の最期を看取り、その屍をみずからの手で葬る。
 誰にも近寄らせず、触れされずに、たったひとりで。
 その最期を自分のものにしてしまう。
 我が侭で馬鹿で卑怯で傲慢で強情でどうしようもないけれど、
 なんて幸せなんだろうと思う。
 強く強く惹かれる。
 惹かれてしまう。

 救うべき星とか人類とか
 使命とか運命とか贖罪とかなにもかも
 一瞬、ぜんぶ放り出して
 ウルフウッドの残していった想いを護ることしか考えなかった。
 そんな彼がものすごく愛おしいです。
 以前よりも、もっと好きになってる。
 ウルフウッドと出逢って、失って。
 全部飲み込んで。
 そして歩き出した今のヴァッシュが好き。

 * * * * * 

 ヴァッシュが泣かないから自分も泣くまいと思いました。
 でも思い返すと胸がぎゅっとくるシーンが多すぎる。
 死を悼む食事など、
 胸を抉るように真実で忘れがたい描写でした。

 私がここに書きたいのは
 パニッシャーを墓標に建てながら呟いたヴァッシュの言葉。

 「自分の生き方を恥じてほしくない」

 おまえの笑顔はカラッポじゃなかったと
 言ってくれたウルフウッドの台詞と一緒に胸に浮き上がって、
 顎がギシリと痺れて、泣きそうになる。

 アニメ版のヴァッシュは
 パニッシャーを形見として背負ったけれど、
 原作のヴァッシュにはパニッシャーは必要ありませんでした。
 形のないものを抱えきれないほど譲り受けた。
 リヴィオとのやりとりを見ていると、
 まるでウルフウッドが乗り移ったみたいだとも思う。
 黒髪化したヴァッシュに
 これまでにはないような強さと大きさを感じました。
 その黒にこめられた静かな、そして焼き付くような決意。
 
 ウルフウッドはやはり案内人で
 ヴァッシュをこうして導いていくのだと思うのです。
 これからも。
 
 * * * * * 

 所詮ヴァッシュファンだから、カップリングで見ているから、
 といえばそうなのかもしれないです。
 感想というよりラブレターみたいなこと書いてますし。

 でも、私はこう思いました。
 2人の幸せを見出してしまった。
 喜びさえ感じた。

 原作に耐えられない人も納得できない人もいると思うのです。
 やっぱり完全には死を認めたくないという友人もいます。
 だからもっとソフトに書こうとして何回も直したんだけど、
 オブラートに包んだりぼやかしたりする余裕は、やっぱり無くて。
 もうこれ以上時間を置いても繕えないなあとわかったので
 感想をアップしました。

 あと、大事なこと。
 誤解があったりなんかしたら恐ろしいので書いておきたいのですが、
 ウルフウッドを埋葬するシーンを描きたいという人がいたら応援します。
 是非是非描いてほしいです。
 もちろんそれが作品とかになったら読ませていただきたい!!
 その人のトライガン世界ではそのシーンが存在するのですから。
 ただ私のトライガン世界ではそれは
 ヴァッシュさんだけのビジョンにしておきたい、という
 それだけのことなのです。

 * * * * * 

 来月はお休み。
 穏やかな月末が来るなんて。
 リヴィオとの2人旅ってどんな感じなんだろう。
 2人の共通の話題ってウルフウッドだけみたいだけど、
 それは辛いからその線は辿らないように辿らないように
 そっと会話するのかな。
 リヴィオにとってもヴァッシュにとっても
 失ってしまった「彼」を自分のうちに見出す旅になるのでしょう。
 とにかく世話焼き牧師はもういないのだから、
 ふらふら人間台風は卒業して、
 厳しい 「ヴァシ兄」をやっていかなくてはなりません。
 リヴィオの天然ボケにつっこみをいれなくてはなりません。
 兄貴風ふかせてるヴァッシュは
 すっごく男前で見蕩れるほどかっこいいです。 
 今までみたことないような表情。

 そこでふと「今まで」みてきた表情はありえないんだと気づく。
 ああそうか、もう誰もトンガリとは呼んでくれないんだ。
 もう誰も、誰も。
 二度と。
 ヴァッシュ・ザ・スタンピードでしかいられないんだ。

 これが「あとからゆっくりくる」というものかな…