= mysterieux baiser dans l'oeil =

「眼の中の神秘的な接吻」 サティの曲名から



あの年の終わり '03の冬コミにあわせて
いつもの小さな折り畳みペーパーを作りました
そこではヴァッシュはウルフウッドを許していませんでした
命もくれると言ったくせに
自分を置いて 微笑んで逝ってしまった彼を
妬んでいたし憎んでもいた

2月号を読んでから
サイトの感想ページに こう書きました

> 彼を埋葬するシーンが描かれない以上、
> 私たちは自分の手で
> 記憶のなかの彼を葬らなければなりません。
> その瞼をそっと伏せさせて、
> その身体を地中に横たえて。
> でも、私はその情景を思い描かない。
> 死を認めないからではなく。
> ウルフウッドとの最後の時を
> 惜別のすべてを
> ヴァッシュに捧げたいと思ってしまうから。
> 独占させてあげたいんです。
> 少なくとも私の分は、彼に譲る。

2人の最後の時間を邪魔したくない と
心から思っていました

先日 10月10日のオンリーイベントにむけて
小さな薄い本を作りました
「mysterieux baiser dans l'oeil」です
そこで私はヴァッシュに譲ったはずだった景色を
少し 描きました

ペーパー本とこの本を 同時に読んだ方には
まるで矛盾するヴァッシュのようにみえたと思います
でもどちらも同じ ガノの中のヴァッシュです

結局のところ 私がこうして描いているのは
ヴァッシュではなくて私の心なのだと思う

ウルフウッドの穏やかで満ち足りた最期を
喜ぶ気持ちは嘘じゃないけど
なにも残してもらえずに
たった一人置いていかれるヴァッシュを思うと
やっぱり辛くて悔しくて哀しかった
受け止められませんでした

だから 自分の心の隅のほうに
小さな光が隠れていたのに
気がついた時は嬉しかったです
ヴァッシュは彼の全てを自分のものにできたんだ
幸せなんだ
という 夢みたいなもの

描かないでおいてあげたいと思ったのに
我慢できずに描いてしまったことについては
やっぱり少しだけ 罪の意識みたいなものを感じます
自分の心の中に住んでいる人達に対して
そんなことを思っても仕方ないんだけど
でもやっぱりヴァッシュには幸せになってほしいし
どんなにずるいことをしてでも
幸せにしてあげたいと思ったからこそ
今 描けたのかもしれません

ここまでくるのにこれだけの時間がかかりました
これが長かったのか短かったのかは
わかりません



…という大切なことを
前書きか後書きに書こうと考えていたのですが
ページ数が足りなくて載せられず
ペーパーに書いて添えようと思ったら
それもやっぱり間に合わなかったのでした

p13の次のシーンをイメージした絵です



どうかどうか 幸せでいて